こんにちは。
仕事で人間ドックの問診と結果説明を担当した際、よく聞かれる質問についてお話します。
人間ドックの前日は、飲酒と筋トレはひかえるべきでしょうか?
施設によって、いろいろ考え方もありますので、受診時の注意点に特に記載がなければ・・・・
どちらも控えたほうが良いですm(_ _)m
では、それぞれについて理由を述べます。
人間ドック前日の飲酒について
人間ドックがあるからといって、普段の生活パターンを変える必要はないのですが、前日だけは飲酒を控えたほうが良いのです。
前日の飲酒は、間違いなく肝機能、特にγ-GTPの上昇をきたします。
肝臓の酵素のひとつであるγ-GTPは、飲酒によって誘導されてくるからです。
ただし、一過性のものであれば基本的に問題ありません。
つまり、飲酒による反応性の酵素(γ-GTP)上昇で、肝臓の障害を反映するASTとALTが正常であれば大きな問題はないと考えられます。しかし、人間ドック学会の判定基準では、γ-GTP単独の上昇でも、レベルによっては要精密検査の判定がついてしまいます。
ですから、正確な肝機能障害の判定を受けるために、前日の飲酒を控えることが肝要かと思われます。
勿論、普段の生活状況における肝臓の状況を見るという点で、ドック前の1週間禁酒するということは全く必要ないと思います。
普段の生活パターンで、どの位肝臓に影響が出ているかをしっかりと把握して、自分における最適な飲酒量を考えていけば良いのではないでしょうか。
人間ドック前日の筋肉トレーニングについて
筋肉トレーニングで、異常値が出る可能性があるのは、CPKと肝機能のAST・ALTです。
それぞれ、筋肉のダメージすなわち筋炎や筋肉の損傷があると増加します。
筋トレは一般的に、筋肉に負荷をかけてダメージを与え、その修復過程で肥大や筋線維の増加を促し筋力をアップさせるトレーニングです。ですから、そのダメージに合わせて上記の数字の上昇が見られます。
ただ、この筋トレに伴う数値上昇は、特に健康上問題ありません。
このCPKでチェックしているのは、筋炎などの膠原病、甲状腺機能低下症です。AST・ALTでチェックしているのは、肝機能障害ですので、正確な判定のためにも、やはり前日の筋トレは控えておいたほうが賢明かと思います。
軽い有酸素運動などは問題ありませんが、筋肉痛を起こすほどの運動は勿論控えるべきです。
異常値が出た場合は、肝臓だけでなく、膠原病やホルモン等を扱う内分泌疾患等と広範囲に精密検査の指示が出ることもありますので、要注意です。
まとめ
人間ドックは、症状が無くても何らかの疾患に罹っていないか、現在の生活習慣で疾患に繋がるような兆候がないかどうかを判定する検査です。
ですから、変に普段と違うストイックな生活をして受けるチェックではありません。ただし、正確な判断のために影響を与える因子は取り除いてチェックを受けることが、大切かと思います。
折角、お腹を空かせた状態で病院まで行って受ける検査ですので、有意義なもになるといいですねヽ(・∀・)ノ